MCU入門 第4回 MCUを最大限に利用するためのサーバーソフトウェアスイート①
– サーバーソフトウェアスイート概論
サーバーソフトウェアスイートとは何か?
サーバーソフトウェアスイートは、MCUの機能を最大限に活かすためのソフトウェア群で、以下3つのソフトウェアで構成されます。
- 3G携帯電話から、3GゲートウェイのISDNの番号に電話をかける
- 接続できたら、3GゲートウェイがH.324MをH.323に翻訳して、H.323端末に接続要求信号を送る
- H.323端末が、接続要求に応えて、3G携帯電話とH.323端末がつながる
これらは、どういう意味でMCUの機能を最大限に活かすのでしょうか?
MCUは、複数の端末をひとつのバーチャル会議室を利用して接続することが仕事です。
そのために、複数の端末から送られてくる映像と音声を受け取ったのち、映像と音声を適切にミックスしたりレイアウト変更をしたりして、各端末に送り返します。
このような映像と音声の処理にMCUは一番力を入れているので、他の処理機能は別のサーバーソフトウェア群にアウトソースしています。
これらのサーバーソフトウェア群は、仕事の対象範囲と時間軸が異なります。
以下に、概要を整理した表を記します。
ゲートキーパー | 予約サーバー | モニタリングサーバー | |
---|---|---|---|
対象範囲 | MCU / 端末の接続 | 会議予約 | テレビ会議ネットワーク 全体 |
過去 | ○ 登録・通信のログ |
○ 会議履歴 |
○ エラー履歴 |
現在 | ○ MCU・端末の登録 通信の接続・切断 |
○ 会議の予約 予約した会議の実行 |
○ 死活管理 パケットの流れ |
未来 | n / a | ○ (リソース管理含) |
n / a |
1.複数拠点を接続するゲートキーパー
複数拠点を同時に接続して会議をするときに、必須の機能は何でしょうか?
それは、MCUと端末を接続することです。
MCUがどんなにパワフルで映像や音声をきれいに速く処理することができても、接続ができなければ役に立ちません。
ゲートキーパーは、端末とMCU(あるいは端末と端末)を接続させるために必要な水先案内人です。
2.未来の接続を自動化し、省力化ができる予約サーバー
複数拠点を同時に接続して会議をするときに、あるととっても楽ができる機能は何でしょうか?
それは、接続を自動化することです。
接続が自動化できないと、それが真夜中であっても誰かが手動で接続を行わないといけません。人件費も馬鹿になりませんし、人が行うことでミスが起きる可能性があります。
会議予約サーバーは、事前に予約をしておけば自動的にMCUと端末を接続してくれるソフトウェアです。
3.現在の会議状態を監視・保存し、トラブルシュートに寄与するモニタリングサーバー
複数拠点を同時に接続して会議を行うときにトラブルが起こってしまった場合、ないと困ることは何でしょうか?
それは、接続できないというトラブルの状態を把握できないことです。
状態が把握できないと、せっかく接続するためのゲートキーパーがあっても、事前に会議の予約をしても、トラブルシューティングができません。これでは不具合が起こったら会議は中止、ということになってしまいます。こんな不安定な状態が続けば、テレビ会議を利用する意味がなくなります。
H.323端末・MCUモニタリングサーバーは、起動しているMCUや端末などが今現在どういう状態なのかをモニタリングするソフトウェアです。
また、その履歴を残し、過去にさかのぼってトラブルの状況把握を行う材料を提供します。
次の項目では、これら3つのソフトウェアについて、より詳しく解説します。
- MCU(多地点接続装置)入門
- 【第1回】MCUで何ができるの?
- 【第2回】MCUの接続性について
- 【第3回】テレビ会議を自社IP網を越えて利用するための拡張について
- 【第4回】MCUを最大限に利用するためのサーバーソフトウェアスイート
- 【第5回】テレビ会議を二次利用する
- 【第6回】MCUの冗長構成
- 【第7回】貴社にぴったりのMCUの設置場所
- 【第8回】テレビ会議サーバーの所有と利用の違いについて
- 【第9回】NAT/FWトラバーサル
- 【第10回】保守サービスについて